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ツングースカ大爆発 (19504 views - Astronomy & Space )

ツングースカ大爆発(ツングースカだいばくはつ、ロシア語: Тунгусский взрыв、英語: Tunguska explosion)は、1908年6月30日7時2分(現地時間)頃、ロシア帝国領中央シベリア、エニセイ川支流のポドカメンナヤ・ツングースカ川上流(現 ロシア連邦クラスノヤルスク地方)の上空で隕石によって起こった爆発である。ツングースカ事件(Тунгусский феномен, Tunguska event)とも言われる。
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ツングースカ大爆発

ツングースカ大爆発

ツングースカ大爆発

Licensed under Creative Commons Attribution-Share Alike 3.0 (This is a hacked version of the public domain map Russia-CIA WFB Map.png. User:Bobby D. Bryant made the modifications and uploaded it under the GFDL on May 21, 2005.).

座標: 北緯60度55分 東経101度57分 / 北緯60.917度 東経101.950度 / 60.917; 101.950

ツングースカ大爆発(ツングースカだいばくはつ、ロシア語: Тунгусский взрыв英語: Tunguska explosion)は、1908年6月30日7時2分(現地時間)頃、ロシア帝国領中央シベリアエニセイ川支流のポドカメンナヤ・ツングースカ川上流(現 ロシア連邦クラスノヤルスク地方)の上空で隕石によって起こった爆発である[1][2]ツングースカ事件Тунгусский феномен, Tunguska event)とも言われる[3]

概要

落下した隕石が大気中で爆発したために、強烈な空振が発生し半径約30-50kmにわたって森林が炎上し、約2,150平方キロメートル[4]の範囲の樹木がなぎ倒された。1,000km離れた家の窓ガラスも割れた。爆発によって生じたキノコ雲は数百km離れた場所からも目撃された。イルクーツクでは衝撃による地震が観測された[5]。 爆発から数夜に渡ってアジアおよびヨーロッパにおいても夜空は明るく輝き、ロンドンでは真夜中に人工灯火なしに新聞を読めるほどであった[6][7]。 地面の破壊規模から見て爆発した「物体」の大きさは当初3mから70mと推定された[5]

近くに村落がなかったため、死者は報告されていない。一時、死者1名と報告されたが誤報であった。ただし非常に僻地であるため、発見されなかった犠牲者がいた可能性もある[8]。破壊力はTNT火薬にして5-15メガトンと考えられていたが、後ほど5メガトン程と訂正された[1]。爆発地点では地球表面にはほとんど存在しない元素のイリジウムが検出された。

調査の歴史

爆発が起こったのは、第一次世界大戦ロシア革命の数年前、かつ日露戦争を終えて間もなくという時期だったことから、ロシア国内の社会は非常に混乱しており、現地調査はしばらく行われなかった。

初めての現地調査は爆発から13年、ソ連成立後の1921年に鉱物学者レオニード・クーリックを中心とするソ連科学アカデミー調査団によって行われた。クーリックはツングースらから聞き取り調査を行い、落下する火球が目撃され、衝撃音は20数回続いたことを確認した。スースロフも1927年に聞き込み調査を行い、当時森林火災が発生したことを報告している。その後、クーリックは4度の探検を行った。

  1. 1927年 - 助手G・P・ギューリッヒと共に、大規模な倒木地帯の中心を発見する。
  2. 1928年 - 狩猟学者、動物学者、作家のV・A・スイチンと共に、スースロフの漏斗(爆心地付近の凹地)の磁気を測定するが、鉄隕石が落ちた証拠は見つからなかった。
  3. 1929年 - 天文学者のE・L・クリノフと共に、スースロフの漏斗を排水して調査するが、隕石の破片は見つからなかった。
  4. 1939年 - ユージノエ沼の調査。
  5. 1940年 - ユージノエ沼の調査を行う予定だったが中止。

クーリックは「落下した天体は隕石である」と考えていたが、4回の探検ではクレーターや隕石の破片など隕石落下説を裏付ける証拠は発見出来なかった。

1946年にはロシアのSF作家アレクサンドル・カザンツェフ英語版が「爆発は地球に墜落した異星人宇宙船に積まれた核爆弾によるものである」という内容の小説「爆発」を発表した。これを受け、トムスク大学の研究員などを中心とした総合自主探検隊 (KSE) が結成される。後にKSEは現地で数回の残留放射能の測定を行うが検出されず、カザンツェフの説は否定された。

その後1960年代に入ると、本格的な探検調査が行われるようになった。倒木の倒れている向きなどの綿密な地図が作られたことで爆心地や爆発力、入射角、爆発時の速度などが推測された。

また、1999年には、イタリアの科学者チームが、爆発の爆心地と想定される地点から約8キロ北にあるチェコ湖の調査を行い、衝撃等の痕跡から、その湖の成因がこの爆発によるものであることを証明した[9]と主張しているが、異論・反論もある。

2007年、米サンディア国立研究所の研究チームが、スーパーコンピューターを使った解析による検討を発表した。解析によると、隕石自体は従来考えられたサイズより小型であり、広範囲の被害は大気中でのエアバーストが原因とされた[1]

2013年、ウクライナ、ドイツ、米国の科学者のグループが、当時の泥炭の地層より、隕石を構成していたと見られる鉱物を検出した。これによって爆発は隕石が原因だったと特定された。発見されたものはいずれも炭素元素鉱物であるロンズデーライトダイヤモンド石墨の混合物で、ロンズデーライトの結晶中にはトロイリ鉱テーナイトも含有されていた。ロンズデーライト、トロイリ鉱、テーナイトは地球上にはほとんど存在しない鉱物であり、これらは隕石が落下したことを支持する証拠として十分である[1]

爆発跡の様子

爆発の衝撃波と斜めに高速移動した衝撃波とが合成された衝撃波によって、爆発の跡はハネを広げたのような形をしている。そのため爆発跡の形はツングースカ・バタフライと呼ばれている。また落下地点の周辺で、樹木や昆虫の生育に異常が見られた。具体的には、成長の停止、逆に異常な速度の成長、新種の出現など[10]

爆心地付近に、スースロフの漏斗と名づけられた凹地がある。レオニード・クーリックは衝突クレーターと考え、I.M.スースロフにちなんで名づけたが、実際は氷雪地形の一種のサーモカルストである。

爆発の原因として推定された説

隕石孔が形成されず、隕石の残片などが長く発見されなかったので、過去には下記のような説が唱えられた。

彗星・小惑星爆発説
爆発の規模から地球に落下した質量約10万トン・直径60-100メートルの天体が地表から6-8キロメートル上空で爆発、跡形なく四散したとされる。落下した天体の正体については諸説あるが、ケイ酸塩鉱物を含むといわれ[11]彗星か小型の小惑星が有力視されていた。なお、隕石の落下については当然見つかるはずの鉄片や岩石片を発見できなかったため、可能性は低いと見られていた[10]
ガス噴出説
2008年7月に、ボン大学の物理学者ヴォルフガング・クントドイツ語版は彗星や小惑星を原因としない新説として、地表の奥深くにたまった、メタンを多く含むガス1000万トンが地上に噴出したという説を発表した[5]

ツングースカ大爆発を扱った作品

金星応答なし英語版スタニスワフ・レム(1951年)
ツングースカ大爆発は金星人無人探査船が墜落したものであったとする。
たそがれに還る光瀬龍(1964年)
ツングースカ隕石が、超古代に難破した宇宙船の爆発であったとする。ただし、世界観を共有する短編『流星二五〇五年』では、ツングースカ大爆発は26世紀のタイム・マシンの作用の結果だということが示唆されている。
『盗まれたハネムーン』柴田昌弘(1980年)
ツングースカの謎の爆発事件が実は事故でコントロールを失った宇宙船の墜落事故であり、その生き残りの女性ミューが子孫の中に自身の意識を滑り込ませて72年後、救助の到来を知り器の主導権を奪い帰還しようと企む。
『ツングース特命隊』山田正紀(1980年)
冒険小説。
2001夜物語星野之宣(1984年)
第8話「悪魔の星」にて、ツングースカ隕石は反物質からなる太陽系第10番惑星「魔王星」から飛来したものであり、大気と対消滅を起こし空中爆発したという仮説が示される。
運命のタロット皆川ゆか(1996年/第11巻)
歴史の改変を賭けた抗争において、対象とする歴史上の事象として扱われる。作品中最大規模の戦いであり、複数の主要登場人物がこの際に命を落とす。
『鏖殺の凶鳥』(文庫化時「凶鳥〈フッケバイン〉 ヒトラー最終指令」)佐藤大輔(2000年)
隕石が異星人の宇宙船で有ったという設定。脱出し地球各地に分散した異星人の技術をめぐり、1945年のドイツ・ベルリン南東の田舎町で死闘が繰り広げられる。
逆光トマス・ピンチョン(2006年)
下巻356ページ以降。ロシアの飛行船ボリシャーシャ・イグラ号は上空から爆発現場を視察し、地球外や「時間外」から来た物体が引き起こした爆発と推測する。主人公の一人キット・トラヴァースは針葉樹林帯を移動中に大爆発に遭遇、それが「四元数兵器」の発射によって引き起こされた可能性を推測する。
RESISTANCE〜人類没落の日〜』(2006年)
1908年にロシアに落下した隕石によって外宇宙からもたらされたキメラウィルスが蔓延し、キメラへと変異した人間の増殖とウィルスのパンデミックによりロシアが壊滅する。1940年代後半に旧ロシア地域から出現したキメラによる破竹の侵略により世界各地が蹂躙され、人類が滅亡寸前に陥る。ツングースカの隕石落下を分岐点として、世界大戦が勃発していないなど現実とは異なる歴史を辿っている世界観を持つ。
ケロロ軍曹』(2008年)
第229話「サブロー&クルル静かな戦いであります」にて、1908年に起きた爆発の原因がクワイエット星人によるもので、地球人がその爆発を防いだ痕跡がツングースカ・バタフライであるとされている。放映当時ツングースカ大爆発の100年目であり、作中のテレビ番組でも特集として取り上げられていた。
トリック劇場版 ラストステージ』(2014年)
村の離れに住む呪術師が告げる「世界の終わり」に類似した怪現象として扱われるほか、物語の結末を左右する要素の一つとなっている。
コンクリート・レボルティオ〜超人幻想〜』(2016年)
最終話において、登場人物の一人の来歴が(明言はされていないものの)ツングースカ大爆発に起因するものであったことが明かされた。
ウルトラマンオーブ』(2016年)
第1話冒頭の戦いの余波で周りの森林が大爆発を起こし、一人の少女が巻き込まれた「ルサールカ大爆発」が起きている。その年号がツングースカ大爆発の起こった年と同じ西暦1908年である。

参考文献

  • コリン・ウィルソン(Colin Wilson)、ダモン・ウィルソン(Damon Wilson)『世界不思議百科』関口 篤、青土社、東京、1989年。ISBN 978-4791750184

脚注

  1. ^ a b c d 「ツングースカ大爆発」の原因、解明される[リンク切れ] msn産経ニュース 2013.7.2 12:24
  2. ^ 「ツングースカ大爆発」の原因、解明される”. WIRED.jp (2013年7月2日). 2018年3月30日閲覧。
  3. ^ ツングースカ事件から100年 研究続く、天体の衝撃アストロアーツ 2008年7月2日、2013年7月4日観覧
  4. ^ 東京都とほぼ同じ面積
  5. ^ a b c シベリアの「ツングースカ大爆発」から100年、小惑星?彗星?深まる謎”. AFPBB News (2008年7月1日). 2010年5月24日閲覧。
  6. ^ ツングースカ大火球 100年の謎 | 日経サイエンス
  7. ^ Watson, Nigel. "The Tunguska Event". History Today 58.1 (July 2008): 7. MAS Ultra-School Edition. EBSCO. 10 February 2009 <http://search.ebscohost.com>
  8. ^ SCIENCE@NASA The Tunguska Event--100 Years Later 06.30.2008
  9. ^ The Tunguska Mystery(SCIENTIFIC AMERICAN June 2008)
  10. ^ a b ウィルソン(1989) p.84
  11. ^ カール・セーガンコスモス

関連項目



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