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ラジウム (22814 views - Periodic Table Of Elements)

ラジウム(英: radium)は、原子番号88の元素。元素記号は Ra。アルカリ土類金属の一つ。安定同位体は存在しない。天然には4種類の同位体が存在する。白色の金属で、比重はおよそ5-6、融点は700 °C、沸点は1140 °C。常温、常圧での安定な結晶構造は体心立方構造 (BCC)。反応性は強く、水と激しく反応し、酸に易溶。空気中で簡単に酸化され暗所で青白く光る。原子価は2価。化学的性質などはバリウムに似る。炎色反応は洋紅色。 ラジウムがアルファ崩壊してラドンになる。ラジウムの持つ放射能を元にキュリー(記号 Ci)という単位が定義され、かつては放射能の単位として用いられていた。現在、放射能の単位はベクレル(記号 Bq)を使用することになっており、1 Ciは3.7 × 1010 Bqに相当する。なお、ラジウム224、226、228は WHO の下部機関 IARC より発癌性があると (Type1) 勧告されている。 ラジウムそのものの崩壊ではアルファ線しか放出されないが、その後の娘核種の崩壊でベータ線やガンマ線なども放出される。
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ラジウム

ラジウム

フランシウム ラジウム アクチニウム
Ba

Ra

Ubn
88Ra
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 ラジウム, Ra, 88
分類 アルカリ土類金属
, 周期, ブロック 2, 7, s
原子量 (226)
電子配置 [Rn] 7s2
電子殻 2, 8, 18, 32, 18, 8, 2(画像
物理特性
固体
密度室温付近) 5.5 g/cm3
融点 973 K, 700 °C, 1292 °F
沸点 2010 K, 1737 °C, 3159 °F
融解熱 8.5 kJ/mol
蒸発熱 113 kJ/mol
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 819 906 1037 1209 1446 1799
原子特性
酸化数 2(強塩基性酸化物
電気陰性度 0.9(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 509.3 kJ/mol
第2: 979.0 kJ/mol
共有結合半径 221 ± 2 pm
ファンデルワールス半径 283 pm
その他
結晶構造 体心立方
磁性 反磁性
電気抵抗率 (20 °C) 1 μΩ·m
熱伝導率 (300 K) 18.6 W/(m·K)
CAS登録番号 7440-14-4
主な同位体
詳細はラジウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
223Ra trace 11.43 d α 5.99 219Rn
224Ra trace 3.6319 d α 5.789 220Rn
226Ra ~100 % 1601 y α 4.871 222Rn
228Ra trace 5.75 y β- 0.046 228Ac

ラジウム: radium)は、原子番号88の元素元素記号Raアルカリ土類金属の一つ。安定同位体は存在しない。天然には4種類の同位体が存在する。白色の金属で、比重はおよそ5-6、融点は700 °C沸点は1140 °C。常温、常圧での安定な結晶構造は体心立方構造 (BCC)。反応性は強く、と激しく反応し、に易溶。空気中で簡単に酸化され暗所で青白く光る。原子価は2価。化学的性質などはバリウムに似る。炎色反応洋紅色

ラジウムがアルファ崩壊してラドンになる。ラジウムの持つ放射能を元にキュリー(記号 Ci)という単位が定義され、かつては放射能の単位として用いられていた。現在、放射能の単位はベクレル(記号 Bq)を使用することになっており、1 Ciは3.7 × 1010 Bqに相当する。なお、ラジウム224、226、228は WHO の下部機関 IARC より発癌性があると (Type1) 勧告されている。

ラジウムそのものの崩壊ではアルファ線しか放出されないが、その後の娘核種の崩壊でベータ線やガンマ線なども放出される。

歴史

1898年、ウランの抽出残渣から分別結晶することにより、ピエール・キュリーマリ・キュリー夫妻によってラジウム226(半減期1600年)が発見された[1]放射線を出しているため、ラテン語radius に因んで命名された[1]

利用

以前は、放射線源として放射線治療に使用されたが、現在は工業的な用途はほとんどない[2]。また、1990年代以前は時計の文字盤などの夜光塗料として利用されていた。当時、ラジウムは時計に手作業で塗られていたが、作業を行う女性労働者は放射能を持つラジウムの付いた筆をなめて穂先を整えていた。これにより時計の生産に関わる女性たちの間でラジウムが原因と思われる病気が多発し、次々に死亡した。時計工場の女性労働者は訴訟を起こし、ラジウム・ガールズ英語版と呼ばれた。この訴訟は従業員が会社を訴える権利を確立させた最初の例となり、労働法史上画期的な出来事とされている[3]

ラジウムに関連した事件

1963年に閉山した鳥取県岡山県の県境の人形峠のウラン鉱床では、その後に周辺の住民の内部被爆が問題となり、調査により、ラドンが発生していたことが判明した。

2011年10月、日本東京都世田谷区の木造民家の床下からラジウム226と推定される物質が発見された。時計用の夜光塗料として使われていたものと見られる。この床下のラジウムは毎時600マイクロシーベルト(年間5,256ミリシーベルト)であった。ラジウムが発見された場合の処分費用の高額さとその負担が問題となっている[4]

2014年6月、スイス北部ビエンヌの廃棄物処理場に、120kg分に及ぶラジウムの廃棄物が持ち込まれていたことが発覚。場所によっては、放射線量が毎時300マイクロシーベルトとなる場所もあった。廃棄物は、道路工事の最中に見つかったもので、時計の夜光塗料に用いられていたものと推測されている。夜光塗料としてのラジウムは、スイスでは1963年に使用が禁止されていたことから、住民に不安を与えないように事実が1年間隠匿されていた[5]

厚生労働省の『放射性物質等の運搬に関する基準(平成十七年十一月二十四日厚生労働省告示第四百九十一号)』は「容器に封入することを要する放射性物質」の基準値を定めているが[6]、他方、ラジウム223英語版よって汚染された物の放射性物質の濃度基準は、2016年現在、『放射性物質等の運搬に関する基準の一部を改正する件(案)』により基準値の見直しが行われている[7]

同位体

脚注

  1. ^ a b 桜井弘 『元素111の新知識』 講談社1998年、356~357頁。ISBN 4-06-257192-7 
  2. ^ 「Newton別冊ありとあらゆる「物質」の基礎がわかる完全図解周期表第2版」 159ページ 2015年10月1日閲覧
  3. ^ 『世界で一番美しい元素図鑑』セオドア・グレイ著 創元社
  4. ^ [1]、BLOGOS、2011年11月16日。
  5. ^ “スイス処理場跡から高放射性物質、1年半公表せず”. AFPBBNews (フランス通信社). (2013年6月2日). http://topics.jp.msn.com/world/general/article.aspx?articleid=4588320 2014年6月2日閲覧。 
  6. ^ 厚生労働省『放射性物質等の運搬に関する基準』、2005年11月24日。
  7. ^ 厚生労働省『放射性物質等の運搬に関する基準の一部を改正する件(案)に関する意見の募集について』、2015年12月28日。

関連項目



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Periodic Table Of Elements

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