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イリジウム (23689 views - Periodic Table Of Elements)

イリジウム(英: iridium [ɨˈrɪdiəm])は原子番号77の元素。元素記号は Ir。 白金族元素の一つで、単体では白金に似た白い光沢(銀白色)を持つ金属(遷移金属)として存在する。
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イリジウム

イリジウム

イリジウム

Licensed under Creative Commons Attribution 1.0 (不明wikidata:Q4233718).

オスミウム イリジウム 白金
Rh

Ir

Mt
77Ir
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 イリジウム, Ir, 77
分類 遷移金属
, 周期, ブロック 9, 6, d
原子量 192.217
電子配置 [Xe] 4f14 5d7 6s2
電子殻 2, 8, 18, 32, 15, 2(画像
物理特性
固体
密度室温付近) 22.56[1] g/cm3
融点での液体密度 19 g/cm3
融点 2739 K, 2466 °C, 4471 °F
沸点 4701 K, 4428 °C, 8002 °F
融解熱 41.12 kJ/mol
蒸発熱 563 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 25.10 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 2713 2957 3252 3614 4069 4659
原子特性
酸化数 6, 5, 4, 3, 2, 1, 0, -1, -3
電気陰性度 2.20(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 880 kJ/mol
第2: 1600 kJ/mol
原子半径 136 pm
共有結合半径 141±6 pm
その他
結晶構造 面心立方格子構造
磁性 常磁性[2]
電気抵抗率 (20 °C) 47.1 nΩ·m
熱伝導率 (300 K) 147 W/(m·K)
熱膨張率 6.4 µm/(m·K)
音の伝わる速さ
(微細ロッド)
(20 °C) 4825 m/s
ヤング率 528 GPa
剛性率 210 GPa
体積弾性率 320 GPa
ポアソン比 0.26
モース硬度 6.5
ビッカース硬度 1760 MPa
ブリネル硬度 1670 MPa
CAS登録番号 7439-88-5
主な同位体
詳細はイリジウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
188Ir syn 1.73 d ε 1.64 188Os
189Ir syn 13.2 d ε 0.532 189Os
190Ir syn 11.8 d ε 2.000 190Os
191Ir 37.3% 中性子114個で安定
192Ir syn 73.827 d β- 1.460 192Pt
ε 1.046 192Os
192m2Ir syn 241 y IT 0.161 192Ir
193Ir 62.7% 中性子116個で安定
193mIr syn 10.5 d IT 0.080 193Ir
194Ir syn 19.3 h β- 2.247 194Pt
194m2Ir syn 171 d IT  ? 194Ir

イリジウム: iridium [ɨˈrɪdiəm])は原子番号77の元素元素記号Ir白金族元素の一つで、単体では白金に似た白い光沢銀白色)を持つ金属遷移金属)として存在する。

概要

年間の採掘量はわずか4トンであり、貴金属レアメタル(希少金属)として扱われている。 地球地殻中での濃度0.001 ppm1 ppb[3]だが、地球内部のマントルにはこれよりはるかに多くのイリジウムが含まれている。また、隕石にも多くのイリジウムが含まれており、その濃度は0.5 ppm以上であるとされている。

性質

物理的性質

密度22.56 g/cm3[1]融点2719 K[3](異なる実験値あり)、沸点4701 K[3]。比重は全元素中二番目に大きい(最大はオスミウム)。

展延性に乏しく、非常に硬いため、加工も難しい。融点も高いことから、そのままでは加工や成形を行うことが困難であるため、一般的には粉末冶金焼結して使用することが多い。

科学的性質

常温、常圧で安定な結晶構造は面心立方構造 (FCC)である。 アルカリに不溶で、常温では王水にも溶けない(粉末にすればわずかに溶ける)。高温でフッ素塩素と反応する。-1, 0, +2, +3, +4, +6価の原子価を取り得る。

用途

工業用

イリジウムやイリジウムを用いた合金は、その硬度や融点の高さから耐熱性や耐摩耗性が求められる用途で使用されることが多い。

例えば、LEDなどの原料として使用する人工サファイア単結晶を製造するための工業用のるつぼは非常に高い耐熱性が求められるため、イリジウムはるつぼの材料として欠かせない存在となっており、イリジウムの用途として最も一般的である。 同様に耐熱性が求められる飛行機自動車エンジンの点火プラグの電極のとして採用される例も多い。

また、耐食性・耐摩耗性に優れていることから高級万年筆のペン先の材料としてオスミウムなどと共に用いられることもある。

白金とイリジウムの合金は、キログラム原器メートル原器の材料として使われていることでも知られている。

宝飾用

イリジウムは、白金の割り金として使用されることが多く[4]、指輪やネックレスなどの多くの宝飾品に用いられている。

また、近年ではイリジウムそのものが結婚指輪などの材料として用いられることもある[5]

その他

人工的に作った放射性同位体のイリジウム192は、非破壊検査の際の線源として利用されている。

歴史

1804年オスミウムと共にテナント (S. Tennant) が発見した[6]

「イリジウム」という名は、その塩類が、虹のように様々な色調を示す事から、ギリシャ神話の虹の女神イリスにちなんで名付けられた[6]

産出国

産出量の95%を南アフリカが占めており、南アフリカのブッシュフェルトの埋蔵量は現在知られている中で最大である。この他にはロシアノリリスクカナダサドバリーでも産出されており、また、わずかではあるがアメリカでも発見されている。

地層に含まれるイリジウム

恐竜絶滅に関する議論で、白亜紀第三紀の境界の地層中に大量のイリジウムを含んだ層がある(K-T境界層)。イリジウムは、地表では非常に少ない金属であるため、これは隕石または地殻の深部由来のものと判断され、そのことから隕石の衝突を示す証拠であると言及されることが多い。

鉱物

イリジウムを構成する鉱石鉱物には、次のようなものがある。


同位体

イリジウムの安定同位体は、191Ir193Irの2核種のみで、天然に存在するイリジウムの同位体は、この2種である。

出典

  1. ^ a b J. W. Arblaster: Densities of Osmium and Iridium, in: Platinum Metals Review, 1989, 33, 1, S. 14–16; Volltext.
  2. ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds, in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
  3. ^ a b c The Element Iridium”. It's Elemental. Jefferson Lab. 2016年10月1日閲覧。
  4. ^ 貴金属について”. 日本ジュエリー協会. 2017年5月1日閲覧。
  5. ^ Luxury Iridium Jewelry”. American Elements. 2017年5月1日閲覧。
  6. ^ a b 桜井弘 『元素111の新知識』 講談社1998年、314頁。ISBN 4-06-257192-7 

関連項目



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Periodic Table Of Elements

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