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アルゴン (19077 views - Periodic Table Of Elements)

アルゴン(英: argon)は原子番号 18 の元素で、元素記号は Ar である。原子量は 39.95。周期表において第18族元素(希ガス)かつ第3周期元素に属す。
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アルゴン

アルゴン

塩素 アルゴン カリウム
Ne

Ar

Kr
18Ar
外見
無色の気体。高圧電場下に置かれるとライラック(紫)色の光を発する。


アルゴンのスペクトル線
一般特性
名称, 記号, 番号 アルゴン, Ar, 18
分類 希ガス
, 周期, ブロック 18, 3, p
原子量 39.948(1) 
電子配置 [Ne] 3s2 3p6
電子殻 2, 8, 8(画像
物理特性
気体
密度 (0 °C, 101.325 kPa)
1.784 g/L
融点 83.80 K, −189.35 °C, −308.83 °F
沸点 87.30 K, −185.85 °C, −302.53 °F
三重点 83.8058 K (-189°C), 69 kPa
臨界点 150.87 K, 4.898 MPa
融解熱 1.18 kJ/mol
蒸発熱 6.43 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 5R/2=20.786 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K)   47 53 61 71 87
原子特性
酸化数 0
電気陰性度 no data(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 第1: 1520.6 kJ/mol
第2: 2665.8 kJ/mol
第3: 3931 kJ/mol
共有結合半径 106±10 pm
ファンデルワールス半径 188 pm
その他
結晶構造 面心立方構造
磁性 反磁性[1]
熱伝導率 (300 K) 17.72x10−3  W/(m·K)
音の伝わる速さ (気体, 27 °C) 323 m/s
CAS登録番号 7440–37–1
主な同位体
詳細はアルゴンの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
36Ar 0.337% 中性子18個で安定
37Ar syn 35 d ε 0.813 37Cl
38Ar 0.063% 中性子20個で安定
39Ar trace 269 y β 0.565 39K
40Ar 99.600% 中性子22個で安定
41Ar syn 109.34 min β 2.49 41K
42Ar syn 32.9 y β 0.600 42K

アルゴン: argon)は原子番号 18 の元素で、元素記号Ar である。原子量は 39.95。周期表において第18族元素(希ガス)かつ第3周期元素に属す。

概要

アルゴンは地球大気中に窒素酸素に次いで3番目に多く含まれている気体で、その容量パーセント濃度は0.93%であり、二酸化炭素 (0.039%) より多く存在している。地球上のアルゴンのほとんどは質量数が40のもの(アルゴン40)であり、これは地殻中のカリウム40の崩壊により生成した。一方、宇宙においてはアルゴン36が最も多量に存在し、超新星爆発による元素合成により生成された。

「アルゴン」という名はギリシャ語で「怠惰な」「不活発な」を意味する「αργον」(アルゴス)という単語に由来する[2]。事実、アルゴンは化学反応をほとんど起こさない元素である。最外殻電子数が8でありオクテット則を満たしているので、アルゴンは安定でほかの元素と結合しにくい。三重点は83.8058 Kであり、これは1990年国際温度目盛 (ITS-90) の定義定点に採用された。産業用途としては主に反応性の低さを利用した不活性ガスとして製鋼や溶接シリコン製造に用いられる[3]

特徴

凍結させたアルゴン

希ガスの一つ。常温、常圧で無色、無臭の気体。希ガスのため不活性である。比重は、1.65(−233 ℃: 固体)、1.39(−186 ℃: 液体)、空気に対する比重は、1.38。固体での安定構造は、面心立方構造 (FCC)。

空気中(地表)に 0.93% 含まれているのでアルゴンは空気から液体酸素液体窒素を分離精製する際に、酸素から分留して得ることができる。

希ガスの中では最も空気中での存在比が大きく、乾燥空気を構成する物質では第2位の酸素の 20.93% についで第3位の 0.93% である。空気中のアルゴンの存在比が希ガス中最も大きいのは、自然界すなわち岩石中に存在していたカリウム40の一部 (11%) が電子捕獲によってアルゴン40となったためである。このため地球および火星など岩石惑星大気中ではアルゴン40の同位体比が圧倒的に大きいのに対し、太陽大気中ではアルゴン36の同位体が大部分を占める[4]。第4位は二酸化炭素だが、2008年現在得られる資料では 0.038% であり3位との差は大きい。

用途

アルゴンの2004年度日本国内生産量は219,461,000 m3 (約40万トン)、工業消費量は38,348,000 m3である。近年の需要に対応して、2005年日本工業規格 (JIS K 1105) が改正され、純度が高められた。

歴史

1892年にレイリー卿ジョン・ウィリアム・ストラット)が大気分析の過程で未知の気体に気づき、1894年にウィリアム・ラムゼーと共にその正体がアルゴンであることを突き止めた[5]。しかし、その100年も前に、ヘンリー・キャヴェンディッシュが存在に気がついていたと言われている。なお、1904年にレイリー卿は「気体の密度に関する研究、およびこの研究により成されたアルゴンの発見」によりノーベル物理学賞を、ウィリアム・ラムゼーは「空気中の希ガス元素の発見と周期律におけるその位置の決定」によりノーベル化学賞を、それぞれ授与された。

アルゴンという名称はギリシャ語で「不活発、不活性」という意味の「αργόν」に由来する。「働く」という意味の「εργον」に「αν」をつけた「αν εργον」(働かない)が語源とする説もある。また、ギリシャ語で「怠け者」という意味の「αργος」が語源とする説もある。

化合物

アルゴンは単原子でオクテット則を満たしていることから、他の原子と結合した化合物は長い間知られていなかった。2000年フィンランドの研究者により初のアルゴン化合物、アルゴンフッ素水素化物 (HArF) の合成が発表された。これは、アルゴンとフッ化水素ヨウ化セシウムを混合して 7.5 K紫外線照射することにより合成された[6]

同位体

出典

  1. ^ Magnetic susceptibility of the elements and inorganic compounds, in Handbook of Chemistry and Physics 81st edition, CRC press.
  2. ^ http://www.rsc.org/chemistryworld/podcast/interactive_periodic_table_transcripts/argon.asp
  3. ^ アルゴンAr 大陽日酸
  4. ^ 小嶋稔 『地球物理概論』 東京大学出版会、1990年
  5. ^ 桜井弘 『元素111の新知識』 講談社1998年、109頁。ISBN 4-06-257192-7 
  6. ^ Khriachtchev, L.; Pettersson, M.; Runeberg, N.; Lundell, J.; Räsänen, M. Nature, 2000, 406, 874-876. DOI: 10.1038/35022551

関連項目



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Periodic Table Of Elements

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