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ステンレス鋼(ステンレスこう、英: stainless steel)は鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)を10.5%以上含むさびにくい合金鋼である。「ステンレススチール」や「
stainlessとは「さびない」と言う意味[1]。名称の由来は「汚れ(ステイン)がない(レス)」という意味の言葉である。
俗に、ステンレス鋼を「ステン」や「サス」と呼ぶことがある。「サス」は品種番号のプリフィックス「SUS」を英語読みした呼び方([sʌs])である。数字のついた鋼は混同しない場合に限り、SUS304を「サス・さんまるよん」、または単に「さんまるよん」と呼ぶことがある。
ステンレス鋼は、含有するクロムが空気中で酸素と結合して表面に不動態皮膜を形成しており、耐食性が高い。ステンレス鋼が作る不動態皮膜は3 nm程のごく薄いクロムの水和オキシ酸化物CrOx(OH)2-x・nH2Oが主体で構成されている。
クロムが作る不動態皮膜は硝酸のような酸化性の酸に対しては大きな耐食性を示すが、硫酸や塩酸のような非酸化性の酸に対しては耐食性が劣る。このため、ニッケルを8 %以上加えて非酸化性の酸に対する耐食性を高めている[2]。
オーステナイト系ステンレス鋼は非磁性であるが、フェライトになると磁性を帯びる。マルテンサイト系ステンレス鋼は強度と共に耐摩擦性が高いが耐食性が少し劣る。
オーステナイト系ステンレス鋼は、塩化物を含む高温高圧環境に曝されると水素脆化による応力腐食割れを起こすことがある[3]。また、加工硬化によって磁性を帯びることがあり、これにより耐食性が劣る可能性がある。
ステンレス鋼は錆を防ぐためのめっきや塗装をしなくても済み、蛇口や流し台など屋外や湿気のある場所、化学薬品を扱う機械器具 (13Cr)、厨房設備 (18Cr/18Cr-8Ni) で用いられる。また、構造物や鉄道車両の構体、部品に用いられる (18Cr-8Ni。鉄道車両に関してはオールステンレス車両の項を参照)。マルテンサイト系ステンレスは焼き入れを行う材料で工具鋼に準ずる硬度を兼備した耐食性材料の位置にある。
近年は、電磁調理器対応用の、ステンレス鋼でできた鍋ややかんが多く販売されているが、その多くは普通鋼やSUS430等の磁性を持つ鋼板の両側に、非磁性だが耐食性に優れたSUS304を2枚サンドウィッチ状に接合させた3層鋼板で製造されている。
基本的な製造方法は普通鋼と同じだが、ステンレス鋼は普通鋼より強度が高いため、冷間圧延時には専用の圧延機を用いる(一部例外あり -表面仕上げを参照)。
JISによれば、ステンレス鋼は、その金属組織により次の5つに分類される。
この内、炭素の少ないフェライト系および炭素の多いマルテンサイト系のステンレス鋼は一般に鉄(Fe)-クロム(Cr)合金のクロム鋼であり、オーステナイト系ステンレス鋼は鉄(Fe)-クロム(Cr)-ニッケル(Ni)合金のクロム-ニッケル鋼である。 ステンレス鋼として最も代表的なものは、オーステナイト系の18 %クロム(Cr)8 %ニッケル(Ni)の(18-8)ステンレス鋼である。
JISで規定するステンレス鋼材料の規格票の例をいくつか示す。
また、代表的なステンレス材料の成分を上記から一部引用する。なお、厚板・鋼管などのステンレス鋼でも、成分系は基本的に薄板と同じである。規格名の後ろに「L」をつけることがある(SUS304Lなど)が、これは炭素量を極めて低く制御した鋼種であることを意味している。
記号 | 種類 | 代表的な化学成分 |
---|---|---|
SUS201 | オーステナイト系 | Ni (3.5 - 5.5 %)、Cr (16 - 18 %)、Mn (5.5 - 7 %)、N(0.25 %以下) |
SUS202 | オーステナイト系 | Ni (4 - 6 %)、Cr (17 - 19 %)、Mn (7.5 - 10 %)、N(0.25 %以下) |
SUS301 | オーステナイト系 | Ni (6 - 8 %)、Cr (16 - 18 %) |
SUS302 | オーステナイト系 | Ni (8 - 10 %)、Cr (17 - 19 %) |
SUS303 | オーステナイト系 | Ni (8 - 10 %)、Cr (17 - 19 %)、Mo(0.60 %以下の添加ができる) |
SUS304 | オーステナイト系 | Ni (8 - 10.5 %)、Cr (18 - 20 %) |
SUS305 | オーステナイト系 | Ni (10.5 - 13 %)、Cr (17 - 19 %) |
SUS316 | オーステナイト系 | Ni (10 - 14%)、Cr (16 - 18 %)、Mo (2 - 3 %) |
SUS317 | オーステナイト系 | Ni (11 - 15 %)、Cr (18 - 20 %)、Mo (3 - 4 %) |
SUS329J1 | オーステナイト・フェライト系 | Ni (3 - 6 %)、Cr (23 - 28 %)、Mo (1 - 3 %) |
SUS403 | マルテンサイト系 | Cr (11.5 - 13 %) |
SUS405 | フェライト系 | Cr (11.5 - 14.5 %)、Al (0.1 - 0.3 %) |
SUS420 | マルテンサイト系 | Cr (12 - 14 %)…炭素量によって細かく分類される |
SUS430 | フェライト系 | Cr (16 - 18 %) |
SUS430LX | フェライト系 | Cr (16 - 19 %)、TiまたはNb (0.1 - 1.0 %) |
SUS630 | マルテンサイト系析出硬化型 | Ni (3 - 5 %)、Cr (15 - 17.5 %)、Cu (3 - 5 %)、Nb (0.15 - 0.45 %) |
また、JIS規格品以外にも各メーカーの独自鋼種が数多く存在する。
オーステナイト系は非磁性体で低温脆性がない。オーステナイト・フェライト系、フェライト系、マルテンサイト系、析出硬化系は磁性体(強磁性体)である。ただし、オーステナイト系ステンレスの一部は、加工を繰り返すことで組織がマルテンサイト化し、磁性を帯びることがある。
ステンレス鋼の耐食性能は、基本的にCrの含有量で決定され、12 - 26 %の範囲で含まれる。その他、Mo・Ti・Nbなどの添加元素も、耐食性の向上に寄与している。6 - 22 %の範囲で含まれるNiも耐食性に貢献するが、オーステナイト相を固定化するのがもっとも重要な役割である。
700 ℃前後の焼なまし程度の加熱でクロム(Cr)が炭素(C)と結合して炭化物が粒界に析出することがあり、クロムの減少によって耐食性が損なわれることがある。これは粒界腐食と呼ばれ、ニオブ(Nb)やチタン(Ti)が少量添加されていれば、クロムの前にニオブやチタンが炭化物となるために粒界腐食を起こさずに耐食性が保たれる。このようなステンレスは安定型ステンレス・スチールと呼ばれる[2]。不適切な熱履歴によるクロム濃度の低下を鋭敏化と言う。
JIS G 0203「鉄鋼用語」の定義によれば、ステンレス・スチールは鉄に約10.5 %以上のクロムを含ませた合金を指し、しばしばニッケルも含まれるとされている。
ステンレス鋼は、主にその用途と求められる意匠性によって様々な表面仕上げを施して使用される。表面処理の中で、意匠的に鏡面に磨いたもの、ヘアライン加工したものは建築物の中で用いられることがあり、素地での仕上げとなる場合は傷を保護するビニールなどの皮膜が貼り付けられていることが多い。代表的なものは以下のとおり。
名称 | 特徴 |
---|---|
No.1 | つや消しの白っぽい表面で、少しザラついた仕上がり。スラブを加熱してロールで延ばす熱間圧延の後、表面を酸で洗い、汚れ等を取り除いたもの。構造部材やリロール母材などに用いられる。製造上1番目(熱間圧延)の工程で出来るため「No.1」と表す。流通では「白皮品」「酸洗材」などと呼ばれる。 |
2D | 冷間圧延後、焼なましと酸洗を行ったままの仕上げで、表面は銀白色の鈍い光沢。比較的柔らかいため、深絞り性を要求される場合に用いられるが、一般にはほとんど流通しない。 |
2B | 2Dの後に、適度な光沢を得られるようにスキンパス(調質圧延)を施した仕上げで、ステンレス鋼ではもっとも一般的。製造上2番目(冷間圧延)の工程で出来、仕上げがブライト(光沢のある)状態のため「No.2B」と表す。 |
BA | 冷間圧延後に光輝熱処理とスキンパスを行った、きれいな光沢のある仕上げ。意匠性を求められる部材に用いられることが多い。2B仕上げに次いで一般的。 |
No.4 | 2BまたはBAの素材に、F180前後の研磨加工をした仕上げ。研磨材としてはもっとも一般的なもので、厨房や建材用などに幅広く用いられる。 |
ヘアライン (HL) | 2BまたはBAの素材に、髪の毛状の細い研磨目(ヘアライン)を連続してつけた仕上げ。エスカレーター側面などでよく見かける。 |
No.8 | 2BまたはBAの素材を#800程度のバフ研磨した、高い光沢を持つ鏡面仕上げ。鏡や装飾金具などに用いられる。 |
タンデム仕上げ(JIS規定外) | 一部フェライト系ステンレス特有の仕上げで、冷間圧延時にステンレス専用の圧延機ではなく、普通鋼用の圧延機を通すことで、高い生産性を達成する。表面性状を問わない自動車排気系部品などに用いられる。 |
ステンレス鋼の防銹性は、表面の不動態皮膜に依存するため、これが還元により破壊される要因に注意を要する。
オーステナイト系ステンレス鋼は硫化水素や塩化水素などの塩化物イオンを含む高温高圧環境に曝されると、水素脆化による応力腐食割れを起こすことがある[3]。
ステンレス鋼は純鉄に比べはるかに酸化されにくい(電位が高いという)ので、他の鋼や異種金属と接続すると電食を起こす。ステンレスの流し台に空き缶やヘアピンを置くと極端に錆びるのはこのせいである。電気温水器はステンレス製であるから、鉄管で接続すると約10年で鉄管が破裂する。
ステンレス鋼においても他の金属と同様、錆は錆を呼ぶ。錆は不動態皮膜に比べて遥に不安定であるため、水道水などに含まれる鉄錆が定着することが要因となって、錆が進行する(もらい錆)。
ステンレス鋼は普通鋼に比べて強度が高いが、構造用に用いるとクリープを起こすことがあり、注意を要する。また、オーステナイト系ステンレス鋼の一部は特定の環境下で応力腐食割れ (SCC) を起こすことがあるため、それを嫌う場合はフェライト系ステンレス鋼を用いるべきである。
特にオーステナイト系ステンレス鋼は熱伝導性が低い上に熱膨張率が大きいため、高温環境下での使用には、設計上十分に注意する必要がある。また、切削や溶接時にも独特の温度管理が必要になる。なお、450 ℃近辺では、鋼種によってはCrが析出することで耐食性や機械性能が低下することがあるので、この温度域での使用は注意を要する。
オーステナイト系ステンレス鋼は伸びがよく、絞りや張り出し成形性も高いため、複雑な形状を作ることができる。加工硬化があるので、これを留意した設計をする必要がある。フェライト系ステンレス鋼はオーステナイト系に比べると伸び性能が劣るため、特に張り出し成形には注意が必要となるが、加工硬化は比較的小さい。なお、マルテンサイト系ステンレス鋼ではこうした加工は難しい。
ステンレス鋼は全般的に切削性が悪く、旋盤やマシニングセンタなどで切削加工する場合、鉄や銅、アルミニウムと比べ、被削面の塑性変形による加工硬化が大きい。そのためセレンやリン、硫黄などを加えた快削材も利用される。
オーステナイトとフェライトの二相組織を持つ二相ステンレス鋼では強い耐食性を持つが、400 ℃以上の環境では脆化を起こすことがあり、使用環境の温度には注意が求められる[2]。
一酸化炭素が存在する雰囲気に暴露すると合金の成分であるニッケルと反応して、極めて有毒なニッケルカルボニルが発生するので、一酸化炭素を含むガス等に触れないように使用すべきである。一酸化炭素を含むガスの供給パイプに使用する場合にはニッケルカルボニルの影響を考慮する必要がある。
ステンレス鋼はそれを専門に扱う販売業者が存在して、市場を形成している。現在こうした市場から購入できる鋼種(店売り品種)は、数多くあるステンレス鋼種のごく一部、SUS304/304L、SUS316/316L、SUS430程度であり、従来は市中品の60 %前後がSUS304で占められていた。また、メーカー規格品の一部は、系列の販売業者が在庫していることがある。これ以外の鋼種は基本的にメーカーで都度生産する事になるが、生産には一定のロットが必要となる(少なくとも7 t以上)。また、2B・BA・No.4・HL以外の仕上げは、2B材を専門業者で研磨した製品(流通研磨品)となることが多い。
ステンレス鋼の流通形態は紐付きと店売りとに分かれる。 紐付きとはステンレスメーカーが最終ユーザーまで把握する形態である(メーカー→商社→最終ユーザー)。紐付き商売ではメーカーと最終ユーザーが直接価格交渉・納期調整を行うケースが多い。 店売りとは問屋が介在し、在庫販売及び切断等の加工を施しユーザーの小ロット・短納期というニーズに答えるべく機能する形態である(メーカー→商社→問屋→各ユーザー)。
日本市場のSUS304は、最近では韓国製など外国材の輸入が増加しており、一定の地位を市場で確立している。このため、必ず国内材を用いたい場合は、注文時にその旨を明示する必要がある。一方でこれ以外の鋼種はまだ国内材が大半である。
2006年からの原料ニッケル価格高騰などの影響で、特にオーステナイト系ステンレス鋼の価格は、1年間で2倍以上に上昇した。このため(Niを含まないため)、比較的価格の安いフェライト系ステンレス鋼へ鋼種変更する需要家が増加している。一般にフェライト系ステンレス鋼はSUS304に比べて耐食性に劣ると言われているが、メーカー各社は以前から耐食性を向上させたフェライト系ステンレス鋼を開発しており、2006年秋以降急速にその需要が高まっている。 その例として、新日鐵住金ステンレスが開発したNSSC180(旧YUS180)や、最近ではJFEスチールが開発したJFE443CTという新鋼種がSUS304代替ステンレス鋼として注目を浴びている。
太古からの鉄の人工物は少数ながら残っている。有名な例の一つは紀元前400年頃のクマラグプタ1世(Kumaragupta I)の時代に建てられたデリーの鉄柱である。この鉄柱はステンレス鋼のように、クロムによって耐食性を得ているのではなく、高いリン量と、建てられた場所の気候との相互作用によって、水が浸透する割れを持つヘマタイトの錆でなく、保護性のあるマグネタイトとリン酸塩の不働態皮膜の形成を促して耐食性を得ている。
鉄クロム合金の耐食性について最初に報告したのは、1821年のフランスの冶金学者のピエール・ベルチェ(Pierre Berthier)である。しかしながら、19世紀の冶金学者たちは現代のステンレス鋼におけるような低炭素かつ高クロムの組合せを得ることができず、当時製造できた高クロム合金は(炭化クロムを多く含むために)非常に脆く実用的でなかった。
1890年代の末にドイツのハンス・ゴルトシュミット(Hans Goldschmidt)はアルミノテルミー法(テルミット法)により炭素の少ない金属クロムの製造に成功した。1904年から1911年にかけて、フランスのレオン・アレクサンドラ・ギレ(Leon Guillet)のようなさまざまな研究者が、今日のステンレス鋼に相当する合金を開発していった。
1890年に、ドイツのクルップ・キール造船所ではクロムニッケル鋼を船体に用いた366トンの帆船『ゲルマニア号』を建造した[5]。1911年にフィリップ・モンナルツ(Philip Monnartz)はクロム量と耐食性の関係について報告した。1912年10月17日に、クルップの技師のベンノ・シュトラウス(Benno Strauss)とエドアルド・マウラー(Eduard Maurer)はオーステナイト系ステンレス鋼であるナイロスタ(Nirosta)の特許を得ている。[6][7][8]
同様の開発が同時期のアメリカ合衆国(アメリカ)でも行われており、そこではクリスチャン・ダントシゼン(Christian Dantsizen)とフレデリック・ベケット(Frederick Becket)によりフェライト系ステンレス鋼を量産している。1912年にはエルウッド・ヘインズがマルテンサイト系ステンレス鋼の特許を申請したものの、1919年までに拒絶査定されている[9]。
同じく1912年に、イングランドのシェフィールドにあるFirth Brown Steels研究所のハリー・ブレアリー(Harry Brearley)は砲身用の耐食合金を探す過程で、マルテンサイト系ステンレス鋼を見出し、後に量産化した。この発見はニューヨーク・タイムズ紙の新聞記事として公表された[4]。この材料は『ステイブライト』(Staybrite)の商標でイングランドのビッカース社より販売され、1929年に建てられたロンドンのサボイホテルの新しい入口の張り出し屋根に用いられた[10]。ブレアリーは、1915年の間にヘインズが既に登録していた特許に異議を挟むために特許を申請し、結果としてブレアリーとヘインズは資金を出し、出資を募ってペンシルバニア州のピッツバーグにアメリカステンレス鋼会社(the American Stainless Steel Corporation)の本社を設立した[11]。
やがて、アメリカにおいてはアレゲニー・メタル(Allegheny Metal)やナイロスタ・スチール(Nirosta Steel)のような異なる商標の元でステンレス鋼が販売されるようになった。しかし、冶金産業内ではこの鋼の最終的な名前は定まっておらず、1921年にある業界誌が『錆びない鋼』(unstainable steel)と呼び始めた[12]。アメリカにおいては、世界恐慌前の1929年には25,000トンを越えるステンレス鋼が製造・販売されていた[13]。
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